【戦争前夜?】2025年の世界情勢と100年前の共通点を比較してみた


2025年1月20日、ドナルド・トランプ氏が4年ぶりに大統領に就任した。 就任から1カ月が経ち、トランプ氏はすでに国際社会に大きな影響を与えている。日本においても、関税含む経済への影響が懸念されている。

今月3月6日、新たに日米安全保障条約に関する発言をした。

「我々は日本を守らなくてはならないが、いかなる状況でも日本は我々を守る必要がない。」

トランプ氏は以前から日米安保に不満を示しており、今回の発言は日本政府に衝撃を与えたことだろう。 もしアメリカが日本防衛の義務を後退させるなら、日本は自国の安全保障をどう確保するのか?

歴史を振り返ると、こうした大国の外交方針の変化が戦争の引き金となることがある。 果たして今の世界は、大戦前夜なのだろうか?


歴史は繰り返される?

歴史を振り返ると、世界大戦が発生する前には共通した要素がある。
今の世界情勢は、これらの要素と驚くほど似ている。

経済危機と軍拡の連鎖

・ 過去の例
1929年の世界恐慌は各国の経済を大混乱に陥れた。経済危機によって国民の不満が高まり、各国は軍事費を増やして国内の雇用を確保しようとした。その結果、ドイツや日本の軍国主義が加速し、戦争の道へと進んだ。

現在の状況
コロナ禍による経済混乱、インフレ、金融不安が続く中、各国が軍事費を増加させている。特に中国、ロシア、アメリカの軍拡競争は激化しており、世界の緊張を高めている。

同盟の崩壊と独自防衛の動き

過去の例
第一次世界大戦前、各国は複雑な同盟関係を築いていた。しかし、外交的な駆け引きに失敗し、最終的には「防衛のための戦争」が連鎖的に発生した。

現在の状況
NATOや日米安保といった同盟関係が揺らぎ始めている。特に、アメリカの「アメリカ第一主義」により、ヨーロッパ諸国は「自分の国は自分で守る」姿勢を強めており、軍備拡張の流れが加速している。

孤立主義と覇権国の交代

過去の例
アメリカは第二次世界大戦前、孤立主義をとり、ヨーロッパやアジアの紛争に関与しなかった。その結果、ドイツ・日本が暴走し、戦争の拡大を許した。

現在の状況
トランプ政権は再び孤立主義へと向かい、NATOや国連への関与を弱めようとしている。この影響で、中国やロシアが影響力を拡大し、アメリカの覇権が揺らいでいる。歴史的に見ても、大国の覇権が揺らぐとき、戦争が発生する可能性は高まる。

局地戦争の増加と戦争の引き金

過去の例
第二次世界大戦前、スペイン内戦や日中戦争といった局地戦争が発生し、それが世界大戦の序章となった。

現在の状況
ウクライナ戦争、台湾問題、イスラエル・ガザ紛争など、世界各地で小規模な紛争が増えている。こうした局地戦争が拡大すると、大国同士の衝突に発展するリスクがある。


歴史のパターンと今の世界

今の状況を考えると、1930年代と驚くほど似た流れになっている。

要素過去現在
経済危機世界恐慌(1929年) → 経済低迷コロナ不況・インフレ・金融不安
国家主義の台頭ヒトラー・ムッソリーニ・スターリンプーチン・習近平・トランプ
軍拡競争・侵略ナチスドイツ・日本の軍国主義ロシアのウクライナ侵攻・中国の軍事拡大
同盟の不安定化三国同盟 vs 連合国NATO・日米保安
宥和政策イギリス・フランスの宥和政策(対ドイツ)アメリカの孤立主義(対ロシア・中国)
局地的戦争スペイン内戦、日中戦争ウクライナ戦争・台湾問題・中東紛争

アメリカの孤立主義、各国の軍拡、国際秩序の崩壊、局地戦争の増加――これらが重なると、大規模な戦争に発展する可能性が高い。

特に、アメリカが意図的に孤立主義を選んでいる点は重要だ。
歴史的に、覇権国が内向きになったとき、その隙を突いて新たな大国が台頭し、戦争の引き金を引くことが多い。

米シンクタンク『大西洋評議会』の調査によれば、未来予測の専門家357人のうち、40.5%が10年以内に新たな世界大戦が起こると予想している。

今、世界はまさに「パワーバランスが大きく動く局面」にあると思われる。
そして、歴史が示す通り、こうした局面では「戦争か、それに近い大きな衝突」が起こる可能性が非常に高い。この流れが続けば、専門家の約40%が10年以内に戦争が起こると考えている。

「トランプの4年は一時的なものだから気にすることはない」 という意見もあるが、問題はその4年の間に世界のパワーバランスが大きく崩れ、取り返しのつかない状況になる可能性だってあることを忘れてはいけない。

 

 


大戦はこうやって起こった

第一次世界大戦(1914年)

同盟が崩壊し、各国が自己防衛に走った結果

背景

・19世紀末から欧州は「三国同盟(ドイツ・オーストリア・イタリア)」と「三国協商(イギリス・フランス・ロシア)」に分かれ、軍拡競争が進んでいた。
・バルカン半島は民族問題が絡み、不安定な情勢が続いていた。

発端

1914年6月28日:オーストリア皇太子フランツ・フェルディナントサラエボで暗殺される。(セルビア民族主義者による犯行)

連鎖反応

  1. オーストリア:セルビアに最後通牒を突きつけ、開戦。
  2. ロシア:同じスラブ系国家であるセルビアを支援し、動員開始。
  3. ドイツ:ロシアの動きを「脅威」とみなし、宣戦布告。
  4. フランス・イギリス:ドイツとの戦争に突入し、全面戦争へ。
ポイント

✔ どの国も「防衛のため」と考えて動いたが、結果的に戦争が止まらなくなった。
ウクライナ戦争や台湾問題も、同じように「小さな衝突がエスカレートするリスク」がある。

第二次世界大戦(1939年)

「ドイツが国際秩序から離脱し、各国が軍拡に走った結果」

背景

・1919年、ヴェルサイユ条約でドイツに過酷な賠償が課され、不満が高まる。
・1929年、世界恐慌が発生し、ナチス党が支持を集める。

発端

・1939年9月1日、ドイツがポーランドに侵攻。

連鎖反応

  1. ドイツの軍事拡張(1933年ヒトラー政権成立 → 1936年ラインラント進駐 → 1938年オーストリア併合)
  2. 独ソ不可侵条約(1939年8月):ポーランドを分割支配する密約。
  3. イギリス・フランス:ドイツのポーランド侵攻に対し、宣戦布告。
ポイント

経済危機(世界恐慌)が戦争を加速させた
中国・ロシアの台頭、アメリカの孤立主義は、この時期と似た流れ

冷戦(1945-1991年)

「核による抑止は効いたが、ギリギリの緊張状態」

背景

・第二次世界大戦後、アメリカとソ連が対立。
・資本主義(西側)vs共産主義(東側)のイデオロギー対立。

発端

1947年:「トルーマン・ドクトリン」発表(ソ連の共産主義拡大を封じ込める戦略)。
1949年:ソ連が核兵器を開発し、米ソの核競争が本格化。

連鎖反応

  1. 1950年:朝鮮戦争勃発(米ソの代理戦争)
  2. 1962年:キューバ危機(米ソが全面核戦争寸前まで進む)
  3. ベトナム戦争・アフガン戦争(各地で代理戦争が激化)
ポイント

✔ 戦争にはならなかったが、偶発的な核戦争のリスクは常にあった。
現在も、米中ロの核バランスの中で「代理戦争」が続いている

今の世界はどうなっているか?

アメリカが孤立主義に向かっている(NATO・国連への関与を減らす発言をしている)
各国が「自分の身は自分で守る」方向へ動く(防衛費の増大・核開発の動き)
既存の国際秩序が崩れ始めている(中国・ロシアの台頭)
小さな紛争が増加(ウクライナ、イスラエル・ガザ、南シナ海)
「今なら戦争しても勝てる」と思う国が出てくるリスク

歴史が示すパターンと現在の状況が驚くほど似ていると思いませんか?
「戦争を防ぐための軍拡」が、「戦争を引き起こす」可能性を高めている。

 

 


もし、第三次世界大戦が起こるなら?

今の状況から、世界大戦につながる可能性があるシナリオはいくつか考えられる。


・パターン1:「偶発的な衝突が止まらなくなる」
(過去の例:第一次世界大戦)

  1. NATOとロシアの緊張が高まる中、ウクライナ戦争がエスカレートするリスクがある。
  2. 例えば、ロシア軍がNATO加盟国を誤爆や事故で攻撃。NATOが報復することで、戦争が拡大。
  3. 最終的に、アメリカも参戦し、大戦へ発展。

・パターン2:「中国の侵攻」
(過去の例:第二次世界大戦)

  1. 中国が「アメリカが手を引いている今なら台湾を統一できる」と判断し、侵攻。
  2. アメリカがどこまで関与するかが不明瞭なため、初期段階では国際社会の反応が鈍い。
  3. しかし、日本・オーストラリア・アメリカが反応し、中国との全面戦争へと発展する可能性。

・パターン3:「経済崩壊が引き金になる」
(過去の例:1929年の大恐慌 → 第二次世界大戦)

  1. 世界経済が不安定で、インフレ・デフレの波が大きい。
  2. もし2025~2030年に金融危機が発生し、失業率が急増すると、各国は「敵を作る」ことで国民の不満をそらそうとする可能性。
  3. 例えば、中国が「戦争で景気を回復する」という選択をする。

 

 

まとめ

トランプの孤立主義が世界戦争の引き金となり、日本も巻き込まれるリスクが高まる。「トランプの任期は4年間」だから安心ではなく、「この4年間が一番危険」の可能性すらある。

トランプの孤立主義は、アメリカの国際的な影響力を低下させ、各国が「自分の身は自分で守る」方向へと動く結果を生んでいる。歴史的に、こうした大国の後退は、他の国々が勢力を拡大する「力の空白」を生み出し、戦争の引き金となることが多い。

現在、中国はその空白を埋める形で影響力を強めており、先日、中国・王毅外相が、日本を名指しでけん制し始めている。「台湾有事は日本有事」と言う言葉に対し、中国が強い警告を発したことは、単なる外交上の言葉ではなく、実際に日本が巻き込まれる可能性を示唆している。

歴史的に見ても、「戦争は、誰かが『今がチャンス』と思ったときに始まる」。
アメリカが手を引く中、中国・ロシアが「今なら勝てる」と考えれば、軍事的な行動に出る可能性は決して低くない。

このままの流れが続けば―――
 日本も否応なく戦争の影響を受ける可能性が高い
 「巻き込まれないための準備」が必要になる
 そして、「平和を守るための軍拡」が、戦争を引き起こすジレンマに直面する

世界は今、第二次世界大戦前夜のような「歴史の分岐点」に立たされているのかもしれない。

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